🪷優婆塞《うばそく》が 行なふ道を しるべにて
来ん世も 深き契りたがふな🪷
〜優婆塞《うばそく》がお勤めしている御仏の道に導かれて、
来世でも私たち二人の深い契りを違えないようにしてください
優婆塞《うばそく》とは、在家の男の仏教信者のこと。
🌸第4帖 夕顔🌸
ずっと明け方近くなってきた。
この家に鶏《とり》の声は聞こえないで、
現世 利益《りやく》の御岳教《みたけきょう》の信心なのか、
老人らしい声で、起《た》ったりすわったりして、
とても忙しく苦しそうにして祈る声が聞かれた。
源氏は身にしむように思って、
朝露と同じように短い命を持つ人間が、
この世に何の慾《よく》を持って
祈祷《きとう》などをするのだろうと聞いているうちに、
「南無《なむ》当来の導師」
と阿弥陀如来《あみだにょらい》を呼びかけた。
「そら聞いてごらん。現世利益だけが目的じゃなかった」
とほめて、
『優婆塞《うばそく》が 行なふ道を しるべにて 来ん世も 深き契りたがふな』
とも言った。
🌼七月七日の長生殿の誓いは実現されない空想であったが、
五十六億七千万年後の弥勒菩薩《みろくぼさつ》出現の世までも
変わらぬ誓いを源氏はしたのである。
『前《さき》の世の 契り知らるる 身のうさに 行く末かけて 頼みがたさよ』
と女は言った。
🪷ぜひ、全文もご覧ください🪷
🌼白居易の長恨歌の 七月七日長生殿玄宗皇帝と楊貴妃の誓いを踏まえています。
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