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源氏物語&古典blog✨🪷 🌿和歌 ときどき漢文🌿

源氏物語、枕草子をはじめ古典の中の 美しい和歌 漢文を紹介してまいります🌸

深き夜の 哀れを知るも 入る月の おぼろげならぬ 契りとぞ思ふ🌸〜朧月夜に似るものぞなきと詠いながら来た女君に🌕 by 源氏の君

 

深き夜の 哀れを知るも 入る月の

おぼろげならぬ 契りとぞ思ふ🌸

朧月夜に似るものぞなきと詠いながら来た女君に🌕 by 源氏の君

〜趣深い春の夜更けの情趣をご存知でいられるのも

 山の端に入る月のせいでしょう🌕

 貴女と私の縁は、

 前世からの浅からぬ御縁があったものと存じます

 

【第8帖 花宴 はなのえん

「朧月夜《おぼろづきよ》に似るものぞなき」

と 歌いながらこの戸口へ出て来る人があった。

源氏はうれしくて突然|袖《そで》をとらえた。

女はこわいと思うふうで、

「気味が悪い、だれ」

と言ったが、

「何もそんなこわいものではありませんよ」

と源氏は言って、

さらに、

深き夜の 哀れを知るも 入る月の

おぼろげならぬ 契りとぞ思ふ

とささやいた。

 

抱いて行った人を静かに一室へおろしてから三の口をしめた。

この不謹慎な闖入者《ちんにゅうしゃ》にあきれている女の様子が

柔らかに美しく感ぜられた。

慄《ふる》え声で、

「ここに知らぬ人が」

と言っていたが、

「私はもう皆に同意させてあるのだから、

お呼びになってもなんにもなりませんよ。静かに話しましょうよ」

この声に源氏であると知って女は少し不気味でなくなった。

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