第8帖 花宴(はなのえん)源氏物語
心いる 方《かた》なりませば 弓張《ゆみはり》の 月なき空に 迷はましやは 藤花の宴の夜、 朧月夜の姫君を探し当てた源氏の君の歌 〜本当に深くご執心でいらっしゃるのならば、 たとえ月が出ていない空でも 迷うことがありましょうか。 【第8帖 花宴 はなの…
梓弓いるさの山に惑うかな ほの見し月の影を見ゆると 右大臣家の藤花の宴の日、 ため息をつく姫君の手をとらえて‥by 源氏の君 〜月の入る いるさの山の周辺で うろうろと迷っています かすかに見かけた月の影(姫君)を また見ることができようかと 【第8帖 …
わが宿の 花しなべての 色ならば 何かはさらに 君を待たまし 藤花の宴に 源氏を招待した右大臣が源氏に送った歌 〜わたしの邸の藤の花が世間一般の色をしているのならば どうしてあなたをお待ち致しましょうか (格別に美しいからこそ、あなたをお招きしたの…
世に知らぬ ここちこそすれ 有明の 月の行方《ゆくへ》を 空にまがへて 「草の原をば」と言った 姫を思い浮かべながら 扇に書いた源氏の歌 〜今までに味わったことのない切ない気持ちがします。 有明の月の行方を途中で見失ってしまって 【第8帖 花宴(はな…
何《いづ》れぞと 露のやどりを わかむ間に 小笹《こざさ》が原に 風もこそ吹け 小笹が原は世間、風 は評判・噂を意味します 私を探さないでしょう?という 朧月夜の姫君に対して源氏の君の返歌 〜名前をうかがっていないと、 どれが 露のような はかないあな…
うき身世に やがて消えなば 尋ねても 草の原をば 訪はじとや思ふ 源氏の君に 袖をとらえられた朧月夜の姫君の歌 〜不幸せな身のまま 名前を明かさないでこの世から死んでしまったなら 名乗らなかったからといって、 あなたは 草の根を分けてでも 私を尋ねて…
深き夜の 哀れを知るも 入る月の おぼろげならぬ 契りとぞ思ふ 朧月夜に似るものぞなきと詠いながら来た女君に by 源氏の君 〜趣深い春の夜更けの情趣をご存知でいられるのも 山の端に入る月のせいでしょう 貴女と私の縁は、 前世からの浅からぬ御縁があった…
大かたに 花の姿を見ましかば つゆも心の おかれましやは 詩を披露する美しい源氏をご覧になった藤壺の宮が 思い浮かべた歌 〜純粋な気持ちで 花のように美しいお姿を拝するのであったなら 少しも気兼ねなど いらなかっただろうに。 【第8帖 花宴 はなのえん…