第2帖 箒木(ははきぎ)源氏物語
打ち払ふ 《そで》も露けき常夏に 嵐《あらし》吹き添ふ秋も来にけり 〜床に積もる塵を払う袖も涙に濡れている常夏(私)の身の上に 荒く吹く風の吹きつける秋までもが やって来ました。 【第2帖 箒木 ははきぎ 私がひそかに情人にした女というのは、 見捨て…
咲きまじる 花は何《いづ》れと わかねども なほ常夏《とこなつ》に しくものぞなき 〜庭にいろいろ咲いている花はいずれも皆美しいが やはり常夏の花のあなたに及ぶ美しいものはない。 【第2帖 箒木 ははきぎ】 久しく訪《たず》ねて行かなかった時分に、 …
山がつの 垣《かき》は荒るとも をりをりに 哀れはかけよ 撫子の露 〜山家の垣根は荒れていても時々は かわいがってやってください撫子の花を ✳︎ 身分の低い 私のもとにおいでにならなくても構いませんが、 せめて娘(撫でていた子 ナデシコ)だけはかわいが…
『数ならぬ 伏屋《ふせや》におふる 身のうさに あるにもあらず 消ゆる帚木』 by 空蝉の君 〜物の数でもない みすぼらしい屋根の低い小さな家(伏屋)生まれという 評判が立つのがつらいですから、 あるのかないのかわからずに消えてしまう帚木のように、 貴…
帚木《ははきぎ》の心を知らで その原の 道にあやなく まどひぬるかな 〜帚木の、遠くからは見えるが近づくと消えてしまうという心を知らないで、 その原の道にわけもわからず、迷い込んでしまいました。 箒木 ははきぎ 私はもう自分が恥ずかしくってならな…
空蝉の君へ 『見し夢を 逢ふ夜ありやと 歎《なげ》く間に 目さへあはでぞ 頃《ころ》も経にける』 by 光る君 〜見た夢を、あなたに逢う夜があるのかと嘆いているうちに 目までが合わないで、日にちも経ってしまったなあ。 箒木 ははきぎ 源氏の手紙を弟が持…
つれなさを 恨みもはてぬ しののめに とりあへぬまで 驚かすらん by 源氏 〜あなたの薄情な態度に恨み言を十分に言わないうちに夜も白みかけています。 鶏までが取るものも取りあえぬまで 慌ただしく鳴いて私を起こそうとするのでしょうか。 身の憂《う》さ…
『ささがにの 振舞《ふるま》ひしるき 夕暮れに ひるま過ぐせと 言ふがあやなき』 by 式部丞 しきぶのじょう 〜クモ️が巣を張れば愛しい人が訪れるといいます、 そのクモの動きで私が来るのが明らかに分かっているはずの夕暮れ時に、 ニンニクの匂いが消え…
第2帖 箒木(ははきぎ)雨夜の品定めより 左馬頭 手を折りて 相見しことを 数ふれば これ一つやは 君がうきふし 〜指を折り二人で過ごした思い出を数えてみると あなたのことでつらい目を見たのは、この一回切りだったでしょうか 女君 うき節を 心一つに …