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源氏物語&古典blog✨🪷 🌿和歌 ときどき漢文🌿

源氏物語、枕草子をはじめ古典の中の 美しい和歌 漢文を紹介してまいります🌸

打ち払ふ 《そで》も露けき常夏に 嵐《あらし》吹き添ふ秋も来にけり🪷〜頭中将に by 大したことないように 言いつくろった常夏の女(夕顔の君)😢🌺

打ち払ふ 《そで》も露けき常夏に

嵐《あらし》吹き添ふ秋も来にけり

〜床に積もる塵を払う袖も涙に濡れている常夏(私)の身の上に

荒く吹く風の吹きつける秋までもが やって来ました。

 

【第2帖 箒木 ははきぎ

 私がひそかに情人にした女というのは、

 見捨てずに置かれる程度のものでね、

 長い関係になろうとも思わずにかかった人だったのですが、

 馴れていくとよい所ができて心が惹かれていった。

 たまにしか行かないのだけれど、

 とにかく女も私を信頼するようになった。

 

 愛しておれば恨めしさの起こるわけのこちらの態度だがと、

 自分のことだけれど気のとがめる時があっても、

 その女は何も言わない。

 久しく間を置いて逢っても始終来る人といるようにするので、

 気の毒で、私も将来のことでいろんな約束をした。

 父親もない人だったから、

 私だけに頼らなければと思っている様子が

 何かの場合に見えて可憐な女でした。

 

こんなふうに穏やかなものだから、

 久しく訪《たず》ねて行かなかった時分に、

 ひどいことを私の妻の家のほうから、

 ちょうどまたそのほうへも出入りする女の知人を介して言わせたのです。

 私はあとで聞いたことなんだ。

 そんなかわいそうなことがあったとも知らず、

 心の中では忘れないでいながら手紙も書かず、

 長く行きもしないでいると、 女はずいぶん心細がって、

 私との間に小さな子なんかもあったもんですから、

 煩悶《はんもん》した結果、

 撫子《なでしこ》の花を使いに持たせてよこしましたよ」

 中将は涙ぐんでいた。

 

「どんな手紙」と源氏が聞いた。

「なに、平凡なものですよ。

『山がつの 垣《かき》は荒るとも をりをりに

 哀れはかけよ 撫子の露』ってね。

 私はそれで行く気になって、 行って見ると、

 例のとおり穏やかなものなんですが、

 少し物思いのある顔をして、

 秋の荒れた庭をながめながら、

 そのころの虫の声と同じような力のないふうでいるのが、

 なんだか小説のようでしたよ。

 

『咲きまじる 花は何《いづ》れと わかねども

 なほ常夏《とこなつ》に しくものぞなき』

 子供のことは言わずに、

 まず母親の機嫌《きげん》を取ったのですよ。

『打ち払ふ 《そで》も露けき常夏に

 嵐《あらし》吹き添ふ 秋も来にけり』

 こんな歌をはかなそうに言って、

 正面から私を恨むふうもありません。

 うっかり涙をこぼしても恥ずかしそうに紛らしてしまうのです。

 恨めしい理由をみずから追究して考えていくことが苦痛らしかったから、

 私は安心して帰って来て、

 またしばらく途絶えているうちに消えたようにいなくなってしまったのです。

🪷ぜひ、全文もご覧ください🪷

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