2023-09-22から1日間の記事一覧
行くかたを ながめもやらん この秋は 逢坂山を 霧な隔てそ 〜あの方が行った方角を眺めていよう、 今年の秋は 逢うという逢坂山を霧よ隠さないでおくれ 【第10帖 賢木 さかき】 斎宮は十四でおありになった。 きれいな方である上に 錦繍《きんしゅう》に包ま…
鈴鹿川 八十瀬の波に 濡れ濡れず 伊勢までたれか 思ひおこせん 〜鈴鹿川の八十瀬の波に袖が濡れるか濡れないか 遠い伊勢に行った先まで 誰が思いおこしてくださるというのでしょうか。 【第10帖 賢木 さかき】 斎宮は十四でおありになった。 きれいな方であ…
ふりすてて今日は行くとも鈴鹿《すずか》川 八十瀬《やそせ》の波に袖は濡れじや 〜わたしを振り捨てて今日は旅立って行かれるが、 鈴鹿川の多くの瀬の波に 袖を濡らして後悔なさいませんでしょうか。 【第10帖 賢木 さかき】 斎宮は十四でおありになった。 …
国つ神 空にことわる 中ならば なほざりごとを 先《ま》づやたださん 伊勢に出立の日にきた源氏の君への返歌 by 斎宮 国つ神がお二人の仲を裁かれることになったならば あなたの実意のないお言葉をまずは糺されることでしょう 【第10帖 賢木 さかき】 十六日…
八洲《やしま》もる 国つ御神《みかみ》も こころあらば 飽かぬ別れの 中をことわれ 〜日本をお守りあそばす国つ神もお情けがあるならば 尽きぬ思いで別れなければならない 私たちの仲について、 どうしてなのか訳をお聞かせ下さい 【第10帖 賢木 さかき】 …
大方《おほかた》の秋の別れも悲しきに 鳴く音《ね》な添へそ野辺《のべ》の松虫 晩秋の夜明け 悲しみ過ぎた二人の恋人の別れの時‥ 六条御息所の歌 〜ただでさえ 秋の別れというものは悲しいものなのに さらに そこに鳴鳴く声を添えて 悲しませてくれるな野…
暁の別れはいつも露けきを こは世にしらぬ秋の空かな 六条御息所と源氏の恋の物思い‥ 寂しい別れの悲しさよ 源氏の君の歌 〜明け方の別れにはいつも涙に濡れていましたが、 今朝の別れは 今までにない涙に曇る秋の空ですね 【第10帖 賢木 さかき】 若い殿上…