帚木《ははきぎ》の心を知らで その原の 道にあやなく まどひぬるかな
〜帚木の、遠くからは見えるが近づくと消えてしまうという心を知らないで、
その原の道にわけもわからず、迷い込んでしまいました。
💐箒木 ははきぎ💐
私はもう自分が恥ずかしくってならなくなった」
気の毒なふうであった。
それきりしばらくは何も言わない。
そして苦しそうに吐息《といき》をしてからまた女を恨んだ。
『帚木《ははきぎ》の心を知らで その原の 道にあやなく まどひぬるかな』
今夜のこの心持ちはどう言っていいかわからない、
と小君に言ってやった。
女もさすがに眠れないで悶《もだ》えていたのである。
それで、
『数ならぬ 伏屋《ふせや》におふる 身のうさに あるにもあらず 消ゆる帚木』
という歌を弟に言わせた。
↓リンクより引用
「箒木」という名前の由来は、幹が2又に分かれていて、その先は広がっており箒のように見えたところからであると伝わっています。その時期は不明です。
歌枕における「箒木」の意味は主に2つあります。
1つは「あるように見えて実はないこと」、もう1つは「姿は見えるのに会えないこと」。
遠くからは見えているのに、
近くに来るとどの木であったか分からなくなってしまう箒木の姿から連想したものです