隠れなき ものと知る知る夏衣
きたるをうすき 心とぞ見る
〜あなたと この女性との仲まで世間に知られてしまうのを
承知の上でやってきて、
夏衣を着るとは 何と薄情で浅薄なお気持ちかと思いますよ。
(薄い夏の衣では、その下の衣の色を隠せないので 隠し事ができない)
【第7帖 紅葉賀 】
わざわざ恐ろしがらせよう自分でないように見せようとする不自然さが
かえって源氏に真相を教える結果になった。
自分と知ってわざとしていることであると思うと、
どうでもなれという気になった。
いよいよ頭中将であることがわかるとおかしくなって、
抜いた太刀を持つ肱《ひじ》をとらえてぐっとつねると、
中将は見顕《みあら》わされたことを残念に思いながらも
笑ってしまった。
「本気なの、ひどい男だね。ちょっとこの直衣《のうし》を着るから」
と源氏が言っても、中将は直衣を放してくれない。
「じゃ君にも脱がせるよ」
と言って、中将の帯を引いて解いてから、
直衣を脱がせようとすると、脱ぐまいと抵抗した。
引き合っているうちに縫い目がほころんでしまった。
「包むめる 名や洩《も》り出《い》でん 引きかはし
かくほころぶる 中の衣に
明るみへ出ては困るでしょう」
と中将が言うと、
隠れなき ものと知る知る夏衣
きたるをうすき 心とぞ見る
と源氏も負けてはいないのである。
双方ともだらしない姿になって行ってしまった。
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