2023-09-10から1日間の記事一覧
荒き風 ふせぎし蔭の 枯れしより 小萩がうへぞ 静心な (源氏の祖母 桐壺の母 按察使大納言 あぜちだいなごんの北の方) 荒い風を防いでいた木が枯れてからは 小萩の身の上が気がかりでなりません 厳しい世間の風当を防いでいた母君の桐壺の更衣が亡くなって…
君にかく 引き取られぬる 帯なれば かくて絶えぬる 中とかこたん 〜あなたにこのように取られてしまった帯ですから こんな具合に仲も切れてしまったものとしましょうよ 逃れることはできませんよ。 ✳︎ 女の所で解いた帯に他人の手が触れると その恋は解消し…
中絶えば かごとや負ふと 危ふさに 縹《はなだ》の帯は とりてだに見ず 〜もし、あなたと源典侍の仲が絶えたら、 私に帯を取られたせいだと恨み言を言われたりしないかと心配なので この縹色(はなだいろ)の帯に手を触れることもしませんし 関係もありませ…
荒《あれ》だちし 波に心は騒がねど よせけん 磯《いそ》を いかが恨みぬ (頭中将乱入騒ぎで ) 破いたまま忘れていた指貫と帯を持たせてくれた 源典侍に by 源氏の君 〜荒々しく暴れた波(頭中将)には驚かないが その彼を寄せつけたあなた(磯)を どうし…
恨みても 云《い》ひがひぞなき 立ち重ね 引きて帰りし 波のなごりに 密会中に頭中将が乱入 装束を破いたまま帰った二人の忘れ物を届けてくれた源典侍の歌 〜恨んでも何の甲斐もありません。 次々とやって来ては帰っていったお二人の波の後では 【第7帖 紅…
隠れなき ものと知る知る夏衣 きたるをうすき 心とぞ見る 〜あなたと この女性との仲まで世間に知られてしまうのを 承知の上でやってきて、 夏衣を着るとは 何と薄情で浅薄なお気持ちかと思いますよ。 (薄い夏の衣では、その下の衣の色を隠せないので 隠し…
包むめる 名や洩《も》り出《い》でん 引きかはし かくほころぶる 中の衣に 源典侍との密会中に頭中将に踏み込まれ 装束も破れた時の源氏の君に by 頭中将 〜隠そうとしている浮名も洩れ出てしまいましょう、 引っ張り合って ほころんでしまった衣のように、…