立ちとまり 霧の籬《まがき》の過ぎうくば
草の戸ざしに 障《さは》りしもせじ🌿
源氏の君へ🌹 by 久々に訪ねた女人へ
〜霧が覆って素通りできずに立ち止まっているならば、
草の戸なんて、
あなたの行く手をはばむ障害にはなりませんよ。
あなたのお気持ちもたいしたことではないということですよ。
🌹第5帖 若紫🌹
〜近ごろ隠れて通っている人の家が途中にあるのを思い出して、
その門をたたかせたが内へは聞こえないらしい。
しかたがなくて供の中から声のいい男を選んで歌わせた。
『朝ぼらけ 霧立つ空の 迷ひにも
行き過ぎがたき 妹《いも》が門かな』
二度繰り返させたのである。
気のきいたふうをした下仕《しもづか》えの女中を出して、
『立ちとまり 霧の籬《まがき》の過ぎうくば
草の戸ざしに 障《さは》りしもせじ』
と言わせた。
女はすぐに門へはいってしまった。
それきりだれも出て来ないので、
帰ってしまうのも冷淡な気がしたが、
夜がどんどん明けてきそうで、
きまりの悪さに二条の院へ車を進めさせた。
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そもそも、ほったらかしにしてても、
いつだって笑顔で迎えてくれる女人‥
それは幻想ですからっ٩(๑❛ᴗ❛๑)۶