2023-08-19から1日間の記事一覧
初草の 生ひ行く末も 知らぬまに いかでか露の 消えんとすらん 若紫の祖母の尼君へ by 一人の名もなき女房 〜萌え出したばかりの若草(のような姫君)が 成長していく将来もわからないうちに、 どうして露(尼君)は消えようとするのでしょうか。 第5帖 若紫…
生《お》ひ立たん ありかも知らぬ若草を おくらす露ぞ 消えんそらなき 幼い若紫をみながら 祖母の尼君が詠んだ歌 〜成長していく場所も知らない若草を、後に残して消えていく露は、 消えようにも消える空がない。 これからどのようになっていくか分からない…
立ちとまり 霧の籬《まがき》の過ぎうくば 草の戸ざしに 障《さは》りしもせじ 源氏の君へ by 久々に訪ねた女人へ 〜霧が覆って素通りできずに立ち止まっているならば、 草の戸なんて、 あなたの行く手をはばむ障害にはなりませんよ。 あなたのお気持ちもた…
朝ぼらけ 霧立つ空の 迷ひにも 行き過ぎがたき 妹《いも》が門かな 久々に訪ねた女人へ by 源氏の君 〜明け方の空に霧が立ち込めている中迷ってしまいそうですが、 そんな中にも通り過ぎがたいあなたの家の門であることよ おっひっさー オイラのこと 待って…
吹き迷ふ 深山《みやま》おろしに 夢さめて 涙催す 滝の音かな北山の僧都へ by 源氏の君 〜吹き乱れる深山おろしに 煩悩の夢から覚めて 感涙を引き起こす滝の音だなあ。 第4帖 若紫 「それは非常にうれしいお話でございますが、 何か話をまちがえて聞いてお…
さしぐみに 袖 濡らしける 山水に すめる心は 騒ぎやはする 源氏の君へ by 北山の僧都 〜あなたが 不意に来られてお袖を濡らされたという山の水に、 心を澄まして住んでいるわたしは心騒ぐことはありません。 第4帖 若紫 「それは非常にうれしいお話でござ…