別れても 影だにとまる ものならば
鏡を見ても なぐさめてまし
源氏の 遠くに離れても私の影はあなたのそばにいる‥
それに対する紫の上の返歌🪷
〜お別れしても
せめて鏡の中の影だけでもとどまっていてくれるものならば
鏡を見て慰めることもできましょうに
【第12帖 須磨 すま】
昼に近いころまで源氏は寝室にいたが、
そのうちに帥《そつ》の宮がおいでになり、
三位中将も来邸した。
面会をするために源氏は着がえをするのであったが、
「私は無位の人間だから」
と言って、無地の直衣《のうし》にした。
それでかえって艶《えん》な姿になったようである。
鬢《びん》を掻《か》くために鏡台に向かった源氏は、
痩《や》せの見える顔が我ながらきれいに思われた。
「ずいぶん衰えたものだ。こんなに痩せているのが哀れですね」
と源氏が言うと、
女王は目に涙を浮かべて鏡のほうを見た。
源氏の心は悲しみに暗くなるばかりである。
身はかくて さすらへぬとも 君があたり
去らぬ鏡のかげ ははなれじ
と源氏が言うと、
別れても 影だにとまる ものならば
鏡を見ても なぐさめてまし
言うともなくこう言いながら、
柱に隠されるようにして涙を紛らしている若紫の優雅な美は、
なおだれよりもすぐれた恋人であると源氏にも認めさせた。
親王と三位中将は身にしむ話をして夕方帰った。
【源氏物語 第十二帖 須磨(すま)】
朧月夜との仲が発覚し、追いつめられた光源氏は
後見する東宮に累が及ばないよう、
自ら須磨への退去を決意する。
東宮や女君たちには別れの文を送り、
一人残してゆく紫の上には領地や財産をすべて託した。
須磨へ発つ直前、桐壺帝の御陵に参拝したところ、
生前の父帝の幻がはっきり目の前に現れ、
源氏は悲しみを新たにする。
須磨の侘び住まいで、
源氏は都の人々と便りを交わしたり
絵を描いたりしつつ、淋しい日々を送る。
つれづれの物語に明石の君の噂を聞き、
また都から頭中将がはるばる訪ねてきて、
一時の再会を喜び合った。
やがて三月上巳の日、
海辺で祓えを執り行った矢先に
恐ろしい嵐が須磨一帯を襲い、
源氏一行は皆恐怖におののいた。
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