2023-10-01から1日間の記事一覧
別れても 影だにとまる ものならば 鏡を見ても なぐさめてまし 源氏の 遠くに離れても私の影はあなたのそばにいる‥ それに対する紫の上の返歌 〜お別れしても せめて鏡の中の影だけでもとどまっていてくれるものならば 鏡を見て慰めることもできましょうに …
身はかくて さすらへぬとも 君があたり 去らぬ鏡のかげ ははなれじ 源氏との別れに悲しむ紫の上への歌 〜たとえ我が身はこのように流浪しようとも 鏡に映った私の影は あなたの元を離れずに残っていましょう 【第12帖 須磨(すま)】 昼に近いころまで源氏は…
亡き人の 別れやいとど 隔たらん 煙となりし 雲井ならでは 帰っていく源氏の君に 大臣夫人の宮がお返しになった歌 〜亡き娘(葵上)との仲もますます遠くなってしまうでしょう 娘が煙となった都の空の下から あなたが居なくなってしまうのですから。 【第12…
鳥部《とりべ》山 燃えし煙も まがふやと 海人《あま》の塩焼く 浦見にぞ行く 宰相の君から大臣夫人の宮の言葉を伝えられた源氏の歌 〜あの鳥辺山で火葬にした妻の煙に似てはいないかと 海人が藻塩を焼く裏を見に行くのです。 【第12帖 須磨 すま】 「お目に…
人目なく 荒れたる宿は 橘の花こそ軒の つまとなりけれ 源氏の歌にしんみりした気持ちになる女御の返歌 〜昔を思い出させる橘の香を懐かしく思って ほととぎすが花の散ったこのお邸にやって来ました。 【第11帖 花散里 はなちるさと】 「橘の 香をなつかしみ…
橘の 香をなつかしみ ほととぎす 花散る里を 訪ねてぞとふ 花散里の姉君麗景殿 れいげいでんの女御に 語りかける源氏の君 〜昔を思い出させる橘の香を 懐かしく思って ほととぎすが花の散ったこのお邸にやって来ました 【第11帖 花散里 はなちるさと】 「橘…
ほととぎす 語らふ声は それながら あなおぼつかな 五月雨《さみだれ》の空 源氏の君が一度だけ会った中川辺の女人、 源氏の歌への返歌 〜ほととぎすの声ははっきり分かりますが どのようなご用か分かりません、 五月雨の空のように 【第11帖 花散里 はなち…
をちかへり えぞ忍ばれぬ 杜鵑ホトトギス ほの語らひし 宿の垣根《かきね》に ただ一度だけ訪ねたことのある 中川辺の女人に by 源氏の君 〜昔にたちかえって 懐かしく思わずにはいられない、ほととぎすの声だ かつてわずかに契りを交わしたこの家なので 【…