鳥部《とりべ》山 燃えし煙も まがふやと
海人《あま》の塩焼く 浦見にぞ行く
宰相の君から大臣夫人の宮の言葉を伝えられた源氏の歌🪷
〜あの鳥辺山で火葬にした妻の煙に似てはいないかと
海人が藻塩を焼く裏を見に行くのです。
【第12帖 須磨 すま】
「お目にかかってお話も伺いたかったのですが、
悲しみが先だちまして、
どうしようもございませんでしたうちに、
もうこんなに早くお出かけになるそうです。
そうなさらないではならないことになっておりますことも
何という悲しいことでございましょう。
哀れな人が眠りからさめますまでお待ちになりませんで」
聞いていて源氏は、泣きながら、
鳥部《とりべ》山 燃えし煙も まがふやと
海人《あま》の塩焼く 浦見にぞ行く
これをお返事の詞《ことば》ともなく言っていた。
「夜明けにする別れはみなこんなに悲しいものだろうか。
あなた方は経験を持っていらっしゃるでしょう」
「どんな時にも別れは悲しゅうございますが、
今朝の悲しゅうございますことは
何にも比較ができると思えません」
宰相の君の声は鼻声になっていて、
言葉どおり深く悲しんでいるふうであった。
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【源氏物語 第十二帖 須磨(すま)】
朧月夜との仲が発覚し、追いつめられた光源氏は
後見する東宮に累が及ばないよう、
自ら須磨への退去を決意する。
東宮や女君たちには別れの文を送り、
一人残してゆく紫の上には領地や財産をすべて託した。
須磨へ発つ直前、桐壺帝の御陵に参拝したところ、
生前の父帝の幻がはっきり目の前に現れ、
源氏は悲しみを新たにする。
須磨の侘び住まいで、
源氏は都の人々と便りを交わしたり
絵を描いたりしつつ、淋しい日々を送る。
つれづれの物語に明石の君の噂を聞き、
また都から頭中将がはるばる訪ねてきて、
一時の再会を喜び合った。
やがて三月上巳の日、
海辺で祓えを執り行った矢先に
恐ろしい嵐が須磨一帯を襲い、
源氏一行は皆恐怖におののいた。
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