2023-10-09から1日間の記事一覧
いつとなく 大宮人《おほみやびと》の恋しきに 桜かざしし 今日も来にけり 院の御代の最後の桜花の宴を思い出された。 その時の源氏の歌 〜いつと限らず都の人達が恋しく思われるのに 桜をかざして遊んだその日がまたやって来た。 【第12帖 須磨 すま】 須磨…
友千鳥 諸声《もろごゑ》に鳴く 暁は 一人寝覚《ねざ》めの床《とこ》も頼もし 明け方に千鳥が身に沁む声で鳴いた。 その時の源氏の歌 〜友千鳥が声を合わせて鳴いている明け方は ひとり寝から目覚めて泣くわたしも 心強い気がする 【第12帖 須磨 すま】 源…
何方《いづかた》の 雲路にわれも 迷ひなん 月の見るらんことも恥《はづ》かし もう落ちるのに近い月が すごいほど白いのを見た源氏の君の歌 〜どの方角の雲路にわたしも迷って行くことであろう。 月が見ているだろうことも恥ずかしいことだ。 【第12帖 須磨…
山がつの 庵《いほり》に 焚《た》けるしば しばも言問ひ 来なむ恋ふる里人 塩を焼く煙と思っていたのが 柴をくべる煙と聞いた時の源氏の作 〜賤しい山人が粗末な家で焼いている柴のように しばしば便りを寄せてほしいのです。 恋しいふるさとの人よ 【第12…