ほととぎす 語らふ声は それながら
あなおぼつかな 五月雨《さみだれ》の空
源氏の君が一度だけ会った中川辺の女人、
源氏の歌への返歌💐
〜ほととぎすの声ははっきり分かりますが
どのようなご用か分かりません、
五月雨の空のように
【第11帖 花散里 はなちるさと】
ほととぎす 語らふ声は それながら
あなおぼつかな 五月雨《さみだれ》の空
こんな返歌をするのは、
わからないふうをわざと作っているらしいので、
「では門違いなのでしょうよ」
と惟光が言って、出て行くのを、
主人《あるじ》の女だけは心の中でくやしく思い、
寂しくも思った。
知らぬふりをしなければならないのであろう、
もっともであると源氏は思いながらも物足らぬ気がした。
この女と同じほどの階級の女としては
九州に行っている五節《ごせち》が
可憐であったと源氏は思った。
どんな所にも源氏の心を惹《ひ》くものがあって、
それがそれ相応に源氏を悩ましているのである。
長い時間を中に置いていても、同じように愛し、
同じように愛されようと望んでいて、
多数の女の物思いの原因は
源氏から与えられているとも言えるのである。
【源氏物語 第十一帖 花散里(はなちるさと)】
光源氏25歳夏の話。
五月雨の頃、
源氏は故桐壺院の妃の一人麗景殿女御を訪ねる。
妹の三の君(花散里)は源氏の恋人で、
姉妹は院の没後源氏の庇護を頼りに
ひっそりと暮らしていた。
訪問の途中、
かつて会った中川の女の元に歌を詠みかけるが、
既に心変わりしてしまったのかやんわりと拒絶される。
女御の邸は橘の花が香り、
昔を忍ばせるほととぎすの声に
源氏は女御としみじみと昔話を語り合い、
その後そっと三の君を訪れた。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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