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源氏物語&古典blog✨🪷 🌿和歌 ときどき漢文🌿

源氏物語、枕草子をはじめ古典の中の 美しい和歌 漢文を紹介してまいります🌸

うちつけの 別れを惜しむ かごとにて 思はん方に 慕ひやはせぬ〜源氏の冗談に 笑って返歌をし 冷かした🌷

 うちつけの 別れを惜しむ かごとにて

 思はん方に 慕ひやはせぬ

源氏の冗談に 笑って返歌をし 冷かした🌷

(源氏の君に by 明石の姫君の乳母〈宣旨の娘〉)

〜口から出まかせの別れを惜しむことばにかこつけて

 本当は、

 恋しい方のいらっしゃる所に行きたいのではありませんか

 

【第14帖 澪標 みおつくし

外出したついでに源氏はそっとわが子の新しい乳母の家へ寄った。

快諾を伝えてもらったのであるが、

なお女はどうしようかと煩悶《はんもん》していた所へ

源氏みずからが来てくれたので、

それで旅に出る心も慰んで、

あきらめもついた。

「御意のとおりにいたします」

と言っていた。

ちょうど吉日でもあったのですぐに立たせることに源氏はした。

「同情がないようだけれど、

 私は将来に特別な考えもある子なのだからね、

 それに私も経験して来た土地の生活だから、

 そう思ってまあ初めだけしばらく我慢をすれば馴れてしまうよ」

と源氏は明石の入道家のことをくわしく話して聞かせた。

母といっしょに父帝のおそばに来ていたこともあって、

時々は見た顔であったが、

以前に比べると容貌《ようぼう》が衰えていた。

家の様子などもずいぶんひどい荒れ方になっている。

さすがに広いだけは広いが気味悪く思われるほど

木なども繁《しげ》りほうだいになっていて、

こんな家にどうして暮らしてきたかと思われるほどである。

若やかで美しいたちの女であったから、

源氏が戯談《じょうだん》を言ったりするのにも

おもしろい相手であった。

「私は取り返したい気がする。

 遠くへなどおまえをやりたくない。どう」

と言われて、

直接源氏のそばで使われる身になれたなら、

過去のどんな不幸も忘れることができるであろうと、

物哀れな気持ちに女はなった。

かねてより 隔てぬ中と ならはねど

 別れは惜しき ものにぞありける

 いっしょに行こうかね」

と源氏が言うと、

女は笑って、

 うちつけの 別れを惜しむ かごとにて

 思はん方に 慕ひやはせぬ

と冷やかしもした。

🪻🎼届かない声 written by K’z Art Storage🪻

 

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