朝日さす 軒のたるひは 解けながら
などかつららの 結ぼほるらん
初めて末摘花の顔を見た時の歌 by 源氏の君⛄️
〜朝日がさす軒にさがった つららは溶けておりますのに、
どうしてあなたのお心は 凍ったままとけずにいるのでしょう。
【第6帖 末摘花】
何ともものが言えない。
相手と同じように無言の人に自身までがなった気がしたが、
この人が初めからものを言わなかったわけも
明らかにしようとして何かと尋ねかけた。
袖で深く口を被《おお》うているのも
たまらなく野暮《やぼ》な形である。
自然|肱《ひじ》が張られて練って歩く儀式官の袖が思われた。
さすがに笑顔《えがお》になった女の顔は
品も何もない醜さを現わしていた。
源氏は長く見ていることがかわいそうになって、
思ったよりも早く帰って行こうとした。
「どなたもお世話をする人のないあなたと知って結婚した私には
何も御遠慮なんかなさらないで、
必要なものがあったら言ってくださると私は満足しますよ。
私を信じてくださらないから恨めしいのですよ」
などと、早く出て行く口実をさえ作って、
『朝日さす 軒のたるひは 解けながら
などかつららの 結ぼほるらん」
と言ってみても、
「むむ」と口の中で笑っただけで、
返歌の出そうにない様子が気の毒なので、
源氏はそこを出て行ってしまった。
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