過ぎにしも 今日別るるも 二みちに
行く方《かた》知らぬ 秋の暮《くれ》かな🍂
〜亡くなった人(夕顔)も今日別れて行く人(空蝉)も
それぞれの道に どこへ行くのか知れない秋の暮れだなあ🍂
【第4帖 夕顔
今日《きょう》から冬の季にはいる日は、いかにもそれらしく、
時雨《しぐれ》がこぼれたりして、
空の色も身に沁《し》んだ。
終日源氏は物思いをしていて、
『過ぎにしも 今日別るるも 二みちに
行く方《かた》知らぬ 秋の暮《くれ》かな』
などと思っていた。
秘密な恋をする者の苦しさが源氏にわかったであろうと思われる。
こうした空蝉とか夕顔とかいうような
はなやかでない女と源氏のした恋の話は、
源氏自身が非常に隠していたことがあるからと思って、
最初は書かなかったのであるが、
帝王の子だからといって、
その恋人までが皆完全に近い女性で、
いいことばかりが書かれているではないかといって、
仮作したもののように言う人があったから、
これらを補って書いた。
なんだか源氏に済まない気がする。
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