かたみにぞ かふべかりける 逢ふことの
日数へだてん 中の衣を
源氏のために調製された狩衣に書かれた明石の君の歌🪷
それに対しての源氏の返歌(明石の君に by 源氏の君)
〜お互いに形見として着物を交換しましょう
また逢える日までの間の二人の仲の、
この中の衣を
【第13帖 明石 あかし】
出立の日の饗応《きょうおう》を入道は派手に設けた。
全体の人へ餞別《せんべつ》に
りっぱな旅装一揃《そろ》いずつを出すこともした。
いつの間にこの用意がされたのであるかと驚くばかりであった。
源氏の衣服はもとより質を精選して調製してあった。
幾個かの衣櫃《ころもびつ》が
列に加わって行くことになっているのである。
今日着て行く狩衣《かりぎぬ》の一所に女の歌が、
寄る波に たち重ねたる 旅衣
しほどけしとや 人のいとはん
と書かれてあるのを見つけて、
立ちぎわではあったが源氏は返事を書いた。
かたみにぞ かふべかりける 逢ふことの
日数へだてん 中の衣を
というのである。
🍂🎼秋雨と共に(Autumn rain with you)🍂🌿 written by 蒲鉾さちこ🌿
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