2023-10-19から1日間の記事一覧
宮ばしら めぐり逢ひける 時しあれば 別れし春の 恨み残すな 朱雀帝が君主としての過失を 自らお認めになる情を優しくお見せになる (源氏の君に by 朱雀帝) 〜こうしてめぐり会える時があったのだから あの別れた春の恨みはもう忘れてください 【第13帖 明…
わたつみに 沈みうらぶれ ひるの子の 足立たざりし 年は経にけり 美しい十五夜の月のもと 兄帝と源氏は語り合う (兄帝に by 源氏の君) 〜海浜でうちしおれて 落ちぶれながら蛭子のように 立つことも身動きも取れず 何年も過ごしてきました 【第13帖 明石 …
都出《い》でし 春の歎《なげ》きに 劣らめや 年ふる浦を 別れぬる秋 源氏は何年も過ごした明石を離れることが名残惜しく思う。 袖で涙を拭う源氏(明石入道に by 源氏の君) 〜都を出発した時の あの春の悲しさに決して劣るだろうか 何年も過ごした この明…
世をうみに ここらしほじむ 身となりて なほこの岸を えこそ離れね 明石入道はせめて国境までは 源氏のお供をさせていただきますと言う (源氏の君に by 明石入道) 〜世の中が嫌になって 長年この海辺で潮風に吹かれて暮らして来ましたが、 なお依然として…
かたみにぞ かふべかりける 逢ふことの 日数へだてん 中の衣を 源氏のために調製された狩衣に書かれた明石の君の歌 それに対しての源氏の返歌(明石の君に by 源氏の君) 〜お互いに形見として着物を交換しましょう また逢える日までの間の二人の仲の、 この…
寄る波に たち重ねたる 旅衣 しほどけしとや 人のいとはん 明石入道は一同に立派な餞別を用意した。 源氏の装束は特に精選して調整してあり、 その狩衣に明石の君の歌が書かれてあった。 (源氏の君に by 明石の君) 〜ご用意致しました旅のご装束は 寄る波…
年経つる 苫屋《とまや》も荒れて うき波の 帰る方にや 身をたぐへまし 源氏が人目を忍んで送った手紙‥ 明石の君は自分の気持ちをそのまま書いた返歌をする (源氏の君に by 明石の君) 〜長年住みなれたこの苫屋も、 あなた様が立ち去った後は荒れはてて つ…