🪷限りとて 別るる道の 悲しきに いかまほしきは 命なりけり🪷
〜今を限りにお別れする悲しさにつけても、
私が行きたいのは死出の旅路ではなく、生き長らえていたいのです。
なんて悲しい歌なのでしょう😢
光源氏の母君の桐壺更衣(きりつぼのこうい)は、すっかり体が弱ってしまいました、
重篤な状態となったの更衣が里に退出するときに、
涙ながらに見送る桐壺帝に対して詠んだ別れの歌です。
命の炎が消えようとする最後の力を振り絞って、帝に別れを告げた歌です。
🪷源氏物語 第1帖 桐壺より🪷
目つきもよほどだるそうで、
平生からなよなよとした人が
いっそう弱々しいふうになって寝ているのであったから、
これはどうなることであろうという不安が
大御心《おおみこころ》を襲うた。
更衣が宮中から輦車《れんしゃ》で出てよい御許可の宣旨《せんじ》を
役人へお下しになったりあそばされても、
また病室へお帰りになると今行くということをお許しにならない。
「死の旅にも同時に出るのが
われわれ二人であるとあなたも約束したのだから、
私を置いて家《うち》へ行ってしまうことはできないはずだ」
と、帝がお言いになると、
そのお心持ちのよくわかる女も、非常に悲しそうにお顔を見て、
「限りとて 別るる道の 悲しきに いかまほしきは 命なりけり
死がそれほど私に迫って来ておりませんのでしたら」
これだけのことを息も絶え絶えに言って、
なお帝にお言いしたいことがありそうであるが、
まったく気力はなくなってしまった。
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