別れしに 悲しきことは 尽きにしを
またもこの世の 憂さはまされる
藤壺の宮の歌に対しての 源氏の君の変化🪷
〜父院にお別れした折に
悲しい思いを尽くしたと思ったはずなのに
またも この世のつらさが増すことです。
【第12帖 須磨 すま】
「こういたしました意外な罪に問われますことになりましても、
私は良心に思い合わされることが一つございまして
空恐ろしく存じます。
私はどうなりましても東宮が御無事に即位あそばせば
私は満足いたします」
とだけ言った。
それは真実の告白であった。
宮も皆わかっておいでになることであったから
源氏のこの言葉で大きな衝動をお受けになっただけで、
何ともお返辞はあそばさなかった。
初恋人への怨恨《えんこん》、
父性愛、別離の悲しみが一つになって泣く源氏の姿は
あくまでも優雅であった。
「これから御陵へ参りますが、お言づてがございませんか」
と源氏は言ったが、宮のお返辞はしばらくなかった。
躊躇《ちゅうちょ》をしておいでになる御様子である。
見しは無く 有るは悲しき 世のはてを
そむきしかひも なくなくぞふる
宮はお悲しみの実感が余って、
歌としては完全なものがおできにならなかった。
別れしに 悲しきことは 尽きにしを
またもこの世の 憂さはまされる
これは源氏の作である
【源氏物語 第十二帖 須磨(すま)】
朧月夜との仲が発覚し、追いつめられた光源氏は
後見する東宮に累が及ばないよう、
自ら須磨への退去を決意する。
東宮や女君たちには別れの文を送り、
一人残してゆく紫の上には領地や財産をすべて託した。
須磨へ発つ直前、桐壺帝の御陵に参拝したところ、
生前の父帝の幻がはっきり目の前に現れ、
源氏は悲しみを新たにする。
須磨の侘び住まいで、
源氏は都の人々と便りを交わしたり
絵を描いたりしつつ、淋しい日々を送る。
つれづれの物語に明石の君の噂を聞き、
また都から頭中将がはるばる訪ねてきて、
一時の再会を喜び合った。
やがて三月上巳の日、
海辺で祓えを執り行った矢先に
恐ろしい嵐が須磨一帯を襲い、
源氏一行は皆恐怖におののいた。
🌸🎼 真実 written by チョコミント🌸
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