汲《く》み初《そ》めて くやしと聞きし 山の井の
浅きながらや 影を見すべき🍃
源氏の君に by 若紫の祖母 北山の尼君🪷
〜山の井戸の水を汲もうとしてあまりの浅さにがっかりするように、
あなたの心は浅いままでしょうから
孫娘をさしあげることなどできません。
🪷第5帖 若紫🪷
今度は五位の男を使いにして手紙をもらったことに
僧都は恐縮していた。
惟光は少納言に面会を申し込んで逢った。
源氏の望んでいることを詳しく伝えて、
そのあとで源氏の日常の生活ぶりなどを語った。
多弁な惟光は相手を説得する心で 上手にいろいろ話したが、
どう解釈すべきであろうとあきれているばかりだった。
手紙のほうにもねんごろに申し入れが書かれてあって、
「一つずつ離してお書きになる姫君のお字を
ぜひ私に見せていただきたい。」
ともあった。
例の中に封じたほうの手紙には、
『浅香山 浅くも人を 思はぬに
など山の井の かけ離るらん』
この歌が書いてある。
返事、
『汲《く》み初《そ》めて くやしと聞きし 山の井の
浅きながらや 影を見すべき』
尼君が書いたのである。
惟光《これみつ》が聞いて来たのもその程度の返辞であった。
「尼様の御容体が少しおよろしくなりましたら
京のお邸《やしき》へ帰りますから、
そちらから改めてお返事を申し上げることにいたします」
と言っていたというのである。
源氏はたよりない気がしたのであった。
🪷ぜひ、全文もご覧ください🪷
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