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源氏物語&古典blog✨🪷 🌿和歌 ときどき漢文🌿

源氏物語、枕草子をはじめ古典の中の 美しい和歌 漢文を紹介してまいります🌸

藤波《ふじなみ》の打ち過ぎがたく見えつるは まつこそ宿のしるしなりけれ〜昔に比べて高くなった松を見て 長い年月と、逆境にいた頃を思う源氏

 藤波《ふじなみ》の打ち過ぎがたく見えつるは

 まつこそ宿のしるしなりけれ

昔に比べて高くなった松を見て 長い年月と、逆境にいた頃を思う源氏

【末摘花の姫君に by 源氏の君】

〜松にかかった藤の花を

 見過ごしがたく思ったのは

 その松がわたしを待つという

 あなたの家の目じるしであったのですね

 

【第15帖 蓬生 よもぎ

泊まって行くことも

この家の様子と自身とが調和の取れないことを思って、

もっともらしく口実を作って源氏は帰ろうとした。

自身の植えた松ではないが、

昔に比べて高くなった木を見ても、

年月の長い隔たりが源氏に思われた。

そして源氏の自身の今日の身の上と

逆境にいたころとが思い比べられもした。

藤波《ふじなみ》の打ち過ぎがたく見えつるは

 まつこそ宿のしるしなりけれ

 数えてみればずいぶん長い月日になることでしょうね。

 物哀れになりますよ。

 またゆるりと悲しい旅人だった時代の話も聞かせに来ましょう。

 あなたもどんなに苦しかったかという辛苦の跡も、

 私でなくては聞かせる人がないでしょう。

 とまちがいかもしれぬが私は信じているのですよ」

などと源氏が言うと、

 年を経て待つしるしなきわが宿は

 花のたよりに過ぎぬばかりか

と低い声で女王は言った。

身じろぎに知れる姿も、

袖に含んだにおいも

昔よりは感じよくなった気がすると源氏は思った。

🪷冥の庭園 written by ハシマミ🪷

🌷第15帖 蓬生(よもぎう)のあらすじはこちら↓

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