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源氏物語&古典blog✨🪷 🌿和歌 ときどき漢文🌿

源氏物語、枕草子をはじめ古典の中の 美しい和歌 漢文を紹介してまいります🌸

あやなくも 隔てけるかな 夜を重ね さすがに馴《な》れし 中の衣を〜源氏だけは早く起きて、姫君が床を離れない朝、源氏の君が 若紫に送った歌🌸

あやなくも 隔てけるかな 夜を重ね

さすがに馴《な》れし 中の衣を

〜どういうわけで、

今まで床をへだてて寝ていたのでしょう。

夜を重ねてすっかり馴染んでいた私たちの仲なのに

 

【第9帖 葵 あおい

つれづれな源氏は西の対にばかりいて、

姫君と扁隠《へんかく》の遊びなどをして日を暮らした。

相手の姫君のすぐれた芸術的な素質と、

頭のよさは源氏を多く喜ばせた。

ただ肉親のように愛撫《あいぶ》して

満足ができた過去とは違って、

愛すれば愛するほど加わってくる悩ましさは

堪えられないものになって、

心苦しい処置を源氏は取った。

そうしたことの前もあとも 女房たちの目には

違って見えることもなかったのであるが、

源氏だけは早く起きて、

姫君が床を離れない朝があった。

女房たちは、

「どうしてお寝《やす》みになったままなのでしょう。

 御気分がお悪いのじゃないかしら」

とも言って心配していた。

源氏は東の対へ行く時に

硯《すずり》の箱を帳台の中へそっと入れて行ったのである。

だれもそばへ出て来そうでない時に若紫は頭を上げて見ると、

結んだ手紙が一つ枕の横にあった。

なにげなしにあけて見ると、

あやなくも 隔てけるかな 夜を重ね

さすがに馴《な》れし 中の衣を

と書いてあるようであった。

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