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生《お》ひ初《そ》めし根も深ければ 武隈《たけくま》の松に小松の千代を並べん by 源氏の君 ❄️ 姫君と別れることになった明石の上を慰める源氏の君【源氏物語578 第19帖 薄雲9】

生《お》ひ初《そ》めし根も深ければ

武隈《たけくま》の松に小松の千代を並べん

by 源氏の君

生まれてきた因縁も深いのだから

いづれ一緒に暮らせるようになりましょう

 

源氏物語578 第19帖 薄雲9】

姫君は無邪気に父君といっしょに車へ早く乗りたがった。

車の寄せられてある所へ明石は自身で姫君を抱いて出た。

片言の美しい声で、

袖をとらえて母に乗ることを勧めるのが悲しかった。

末遠き 二葉の松に 引き分かれ

いつか木高き かげを見るべき

とよくも言われないままで非常に明石は泣いた。

こんなことも想像していたことである、

心苦しいことをすることになったと

源氏は歎息《たんそく》した。

生《お》ひ初《そ》めし根も深ければ

 武隈《たけくま》の松に小松の千代を並べん

 気を長くお待ちなさい」

と慰めるほかはないのである。

道理はよくわかっていて抑制しようとしても

明石の悲しさはどうしようもないのである。

乳母《めのと》と少将という若い女房だけが従って行くのである。

守り刀、天児《あまがつ》などを持って少将は車に乗った。

女房車に若い女房や童女などをおおぜい乗せて見送りに出した。

源氏は道々も明石の心を思って罪を作ることに

知らず知らず自分はなったかとも思った。

❄️🎼禁足領域 written by のる

 

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