2023-09-28から1日間の記事一覧
時ならで 今朝咲く花は 夏の雨に 萎《しを》れにけらし 匂《にほ》ふほどなく 頭中将の乾杯の辞に対し、 源氏は微笑みながら杯を取った 〜時節に合わず今朝咲いた花は夏の雨に しおれてしまったようです。 美しさを見せる間もなく 【第10帖 賢木 さかき】 そ…
それもがと 今朝《けさ》開けたる初花に 劣らぬ君が にほひをぞ見る 親友の頭中将が乾杯の辞を述べる 〜それを見たいと思っていた 今朝咲いた花に劣らないお美しさの わが君でございます。 【第10帖 賢木 さかき】 それもがと 今朝《けさ》開けたる初花に 劣…
ありし世の 名残《なご》りだになき 浦島に 立ちよる波の めづらしきかな 源氏の歌に対して 藤壺の宮の返歌 〜昔の名残さえないこの松が浦島のような所に 立ち寄る波も珍しいのに、 立ち寄ってくださるとは珍しいですね。 【第10帖 賢木 さかき】 解けてきた…
ながめかる 海人の住処《すみか》と 見るからに まづしほたるる 松が浦島 出家した藤壺の宮の元を訪ねた源氏。その時の歌 〜海藻を刈る海人が住む松が浦島、 物思いに沈んでいらっしゃるお住まいかと存じますと 何より先に涙に暮れてしまいます。 【第10帖 …
音に聞く 松が浦島《うらしま》 今日ぞ見る うべ心ある海人《あま》は住みけり 源氏の君が口ずさんだ古歌 素性法師(そせいほうし)の歌 〜この島が有名な松が浦島なのだ。 だから情趣を解する海人ならぬ 尼が住んでいるのだなあ。 【第10帖 賢木 さかき】 …