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源氏物語&古典blog✨🪷 🌿和歌 ときどき漢文🌿

源氏物語、枕草子をはじめ古典の中の 美しい和歌 漢文を紹介してまいります🌸

【源氏物語618 第19帖 薄雲49 完】いさりせし 影忘られぬ 篝火は 身の浮舟や 慕ひ来にけむ by 明石の上🪷

いさりせし 影忘られぬ 篝火は

身の浮舟や 慕ひ来にけむ

源氏の君に by 明石の上

〜あの明石の浦の漁り火が思い出されますのは

 わが身の憂さを追って

 ここまでやって来たのでしょうか

 

源氏物語618 第19帖 薄雲49 完】

住み馴れるにしたがって

ますます凄い気のする山荘に待つ恋人などというものは、

この源氏ほどの深い愛情を持たない相手をも

引きつける力があるであろうと思われる。

ましてたまさかに逢えたことで、

恨めしい因縁のさすがに浅くないことも思って歎く女は

どう取り扱っていいかと、

源氏は力限りの愛撫を試みて慰めるばかりであった。

 

木の繁《しげ》った中からさす篝《かがり》の光が

流れの蛍と同じように見える庭もおもしろかった。

「過去に寂しい生活の経験をしていなかったら、

 私もこの山荘で逢うことが心細くばかり思われることだろう」

と源氏が言うと、

いさりせし かげ忘られぬ 篝火《かがりび》は

 身のうき船や 慕ひ来にけん

あちらの景色によく似ております。

不幸な者につきもののような灯影《ほかげ》でございます」

と明石が言った。

浅からぬ 下の思ひを知らねばや

 なほ篝火の 影は騒げる

だれが私の人生観を悲しいものにさせたのだろう」

と源氏のほうからも恨みを言った。

少し閑暇《ひま》のできたころであったから、

御堂《みどう》の仏勤めにも没頭することができて、

二、三日源氏が山荘にとどまっていることで

女は少し慰められたはずである。

🌹🎼最果てのルージュ written by のる

 

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【源氏物語614 第19帖 薄雲45】君もさは 哀れをかはせ 人知れず わが身にしむる秋の夕風🍂 by 源氏の君

君もさは 哀れをかはせ 人知れず

わが身にしむる秋の夕風 

斎宮の女御に by 源氏の君

〜あなたもそれでは情趣を交わしてください、

 誰にも知られず

 自分ひとりでしみじみ 身にしみて感じている

 秋の夕風ですから

 

【 第19帖 薄雲45】

お言葉尻《じり》の

しどけなくなってしまう様子などの可憐《かれん》さに、

源氏は思わず規《のり》を越した言葉を口に出した。

君もさは 哀れをかはせ 人知れず

 わが身にしむる秋の夕風

 忍びきれないおりおりがあるのです」

宮のお返辞のあるわけもない。

 

腑《ふ》に落ちないとお思いになるふうである。

いったんおさえたものが外へあふれ出たあとは、

その勢いで恋も恨みも源氏の口をついて出てきた。

それ以上にも事を進ませる可能性はあったが、

宮があまりにもあきれてお思いになる様子の見えるのも

道理に思われたし、

自身の心もけしからぬことであると思い返されもして

源氏はただ歎息《たんそく》をしていた。

艶《えん》な姿ももう宮のお目にはうとましいものにばかり見えた。

 

柔らかにみじろぎをして

少しずつあとへ引っ込んでお行きになるのを知って、

「そんなに私が不愉快なものに思われますか、

 高尚《こうしょう》な貴女《きじょ》は

 そんなにしてお見せになるものではありませんよ。

 ではもうあんなお話はよしましょうね。

 これから私をお憎みになってはいけませんよ」

と言って源氏は立ち去った。

しめやかな源氏の衣服の香の座敷に残っていることすらを

宮は情けなくお思いになった。

 

女房たちが出て来て格子《こうし》などを閉めたあとで、

「このお敷き物の移り香の結構ですこと、

 どうしてあの方はこんなにすべてのよいものを

 備えておいでになるのでしょう。

 柳の枝に桜を咲かせたというのはあの方ね。

 どんな前生《ぜんしょう》をお持ちになる方でしょう」

などと言い合っていた。

🍃🎼#氷雨 written by #稿屋 隆

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【源氏物語596 第19帖 薄雲27】入り日さす 峯にたなびく 薄雲は 物思ふ袖に 色やまがへる by 源氏の君

入り日さす 峯にたなびく 薄雲は 

物思ふ袖《そで》に色やまがへる by 源氏の君

〜入り日が射している峰の上に たなびいている薄雲は

 悲しんでいるわたしの喪服の袖の色に似せたのだろうか

 

源氏は二条の院の庭の桜を見ても、

故院の花の宴の日のことが思われ、

当時の中宮《ちゅうぐう》が思われた。

「今年ばかりは」(墨染めに咲け)

と口ずさまれるのであった。

人が不審を起こすであろうことをはばかって、

念誦《ねんず》堂に引きこもって終日源氏は泣いていた。

はなやかに春の夕日がさして、

はるかな山の頂《いただき》の

立ち木の姿もあざやかに見える下を、

薄く流れて行く雲が鈍《にび》色であった。

何一つも源氏の心を惹《ひ》くものもないころであったが、

これだけは身に沁《し》んでながめられた。

入り日さす 峯にたなびく 薄雲は 

物思ふ袖《そで》に色やまがへる

これはだれも知らぬ源氏の歌である。

寡黙な揺り篭 written by 稿屋 隆

 

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行きて見て 明日もさねこん なかなかに 遠方人《をちかたびと》は心おくとも by 源氏 ❄️ ウキウキおめかしして 明石の上のところに行く源氏への歌に対しての返歌🌷

 行きて見て 明日もさねこん なかなかに

 遠方人《をちかたびと》は 心おくとも

 by 源氏の君

🌷紫の上の「明日帰ってくると思って待ちましょう」という歌への返歌🌷

 〜ちょっと行ってみて明日にはすぐに帰ってこよう

  かえってあちらが機嫌を悪くしようとも

 

源氏物語584 第19帖 薄雲15】

山荘の人のことを絶えず思いやっている源氏は、

公私の正月の用が片づいたころのある日、

大井へ出かけようとして、

ときめく心に装いを凝らしていた。

桜の色の直衣《のうし》の下に美しい服を幾枚か重ねて、

ひととおり薫物《たきもの》が たきしめられたあとで、

夫人へ出かけの言葉を源氏はかけに来た。

明るい夕日の光に今日はいっそう美しく見えた。

夫人は恨めしい心を抱きながら見送っているのであった。

無邪気な姫君が源氏の裾《すそ》にまつわってついて来る。

御簾《みす》の外へも出そうになったので、

立ち止まって源氏は哀れにわが子をながめていたが、

なだめながら、

「明日かへりこん」

(桜人その船とどめ島つ田を

 十町《まち》作れる見て帰りこんや、

 そよや明日帰りこんや)

と口ずさんで縁側へ出て行くのを、

女王《にょおう》は中から渡殿の口へ先まわりをさせて、

中将という女房に言わせた。

 船とむる遠方人《をちかたびと》のなくばこそ

 明日帰りこん夫《せな》とまち見め

物馴《な》れた調子で歌いかけたのである。

源氏ははなやかな笑顔《えがお》をしながら、

 行きて見て 明日もさねこん なかなかに

 遠方人《をちかたびと》は 心おくとも

と言う。

父母が何を言っているとも知らぬ姫君が、

うれしそうに走りまわるのを見て夫人の

「遠方人《おちかたびと》」を

失敬だと思う心も緩和されていった。

❄️🎼ダイアモンドダスト written by のる

 

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